何もしていないのに凝る(痛くなる)のはなぜ?





Q:何もしていないのに肩が凝ったり腰が痛くなったりする

  のはなぜか?




A:地球には「重力」(gravity)があるからです









 自分では「座っている(立っている)だけ」で、「何もしてい
ない」と思っている時でも、「重力」に対抗して身体を支えるた
めの筋肉、すなわち
抗重力筋のどれかが常に働いて(緊張
して)います。持続的に緊張しているために血流も悪くなりがち
で疲労が起こりやすい筋肉です。




 「抗重力筋は地球の「重力」に対抗して姿勢を保つために
働きます。首(頚)〜胴体〜大腿〜下腿の前面と後面に位置して
前後が互いに伸びたり縮んだりしながらバランスを保っていま
す。




 「抗重力筋が正常に働いて、うまくバランスを取り合うこ
とができれば、身体の「ゆがみ」は修正されます。けれども「な
くて七癖」ひとには姿勢の傾向(癖)が見られることがありま
す。日常生活を送る中で身体に癖がつくと、
抗重力筋は悪
い姿勢(癖)を記憶してしまい、その姿勢を正常な姿勢だと勘違
いしてしまいます。その結果、身体の「ゆがみ」はさらに増強さ
れて、慢性の肩こりや腰痛を引き起こすことになります。






抗重力筋



イラスト:「PRiCO(ぷりこ)」さん



名 称
起 始
停 止
支配神経
はたらき
僧帽筋
外後頭隆起

項靭帯

棘突起(全胸椎+第7頚椎)
肩甲棘(肩甲骨)

肩峰(肩甲骨)

鎖骨外側1/3
副神経
頚神経叢上部は

肩甲骨と鎖骨の挙上

中部は

肩甲骨を内方に引き固定

 下部は

肩甲骨を回転し、上腕の挙上を助ける 
板状筋
下位(第4〜7)頚椎

および

 上位(第1〜5)胸椎の棘突起 
乳様突起(側頭骨)

第1〜2頚椎横突起
 脊髄神経後枝 
 頭および脊柱の背屈と側屈 
頭長筋
第3〜6頚堆の横突起
後頭骨の底部
第1 〜第3頸神経
両側:頭部を屈曲する

片側:同側に頭部を傾斜

わずかに回旋
頭半棘筋
C7、T1〜T6(横突起)

C4〜6(関節突起)
後頭骨

(上項線と下項線の間)

頸神経
頭部の伸展、回旋
頸半棘筋
T2〜T5(横突起)
C2〜5(棘突起) 頸神経、胸神経 頸椎の伸展、回旋
胸半棘筋
T5〜11(横突起)
C5〜7・T1〜4(棘突起) 頸神経、胸神経 脊柱の伸展、回旋
胸鎖乳突筋 胸骨頭(胸骨柄の上縁)
鎖骨頭(鎖骨内方の1/3)
側頭骨乳様突起
後頭骨上項線
副神経・頚神経叢(C2
〜C3)
頭部を反対側に回旋する
頭を前下方に引く
胸骨と鎖骨を挙上する
脊柱起立筋 共通の起始
(仙骨の背面・
下部腰椎棘突起・腸骨稜)
最外側は腸肋筋:肋骨
中間部は最長筋:
棘突起または肋骨
内側は棘筋:上位の棘突起
脊髄神経後枝 頭と脊柱の背屈と側屈
腹横筋 第7〜12肋軟骨内面
胸腰筋膜
腸骨稜
鼠径靭帯
腹直筋鞘 肋間神経
(第5〜12胸神経)
腸骨下腹神経
腹圧を高め、腰椎の安定性を保つ
(腸腰筋)



腸骨筋  腸骨窩(寛骨) 大腿骨の小転子 大腿神経 股関節の屈曲 

 (大腿の前方挙上) 

 下肢を固定すると 

 上半身は前に曲がる
大腰筋 腰椎の椎体 

肋骨突起
大殿筋 腸骨
仙骨
尾骨の後面
仙結節靭帯
殿筋粗面(大腿骨)

腸脛靭帯
下殿神経 大腿の伸展(大腿を後方へ動かす)

腸脛靭帯の緊張により膝関節を伸展

→直立姿勢を保つ
(ハムストリングス)



大腿二頭筋
長頭
坐骨結節 腓骨頭 脛骨神経 股関節の伸展(大腿の後方挙上)。
膝関節における下腿の屈曲と外旋
大腿二頭筋
短頭
大腿骨粗線外側唇 腓骨頭 総腓骨神経 膝関節での下腿の屈曲と外旋
半腱様筋 坐骨結節 脛骨粗面内側部
(鵞足)
脛骨神経 股関節の伸展
膝関節での下腿の屈曲と内旋
半膜様筋 坐骨結節 脛骨内側顆の後面 脛骨神経
(大腿四頭筋)



大腿直筋 下前腸骨棘 四腱は合体して

膝蓋骨につき、

膝蓋靭帯を経て

脛骨粗面に終わる
大腿神経 下腿の伸展
外側広筋 粗線外側唇(大腿骨)
内側広筋 粗線内側唇
中間広筋 大腿骨前面
(下腿三頭筋)



腓腹筋
内側頭
内側上顆(大腿骨) 二つの筋は合体して踵骨腱
(アキレス腱)を形成し、踵骨
隆起に終わる
脛骨神経 足の底屈
膝関節の屈曲
腓腹筋
外側頭
外側上顆(大腿骨)
ヒラメ筋 腓骨頭
ヒラメ筋線(脛骨)
後脛骨筋 下腿骨間膜の後面 舟状骨
内側楔状骨
脛骨神経 足の底屈
かつ内反
前脛骨筋 脛骨外側面
下腿骨間膜
内側楔状骨と第1中足骨の
底面
深腓骨神経 足を背屈
かつ内反
※横突棘筋は、半棘筋・多裂筋・回旋筋の三部位からなる。脊椎の後屈、側屈、回旋のはたらきを持つ。
※深背筋(第2層)(=固有背筋):板状筋・脊柱起立筋・横突棘筋(脊柱の両側に位置)脊柱と頭を動かし、脊柱を直立させるはたらきをもつ。
胸部・腰部では胸腰筋膜に包まれる→(浅背筋との明瞭な区分)